SAP S/4HANA Cloud の public 版でオンプレと異なる点として、
「銀行報告書の取込時、締め請求処理した債権しか自動マッチングのロジックが働かない」
というのがあります。
そのため、銀行報告書取込時の債権の入金消込処理の選択肢としては、
の三択になってしまいます。
3のCash Applicationとか、なんでも解決してくれそうに聞こえますが、学習データ1万件ないと信頼できるマッチング結果が出せないし、学習データはS/4HANA上にある必要があるし、ってことで、初期稼働時には使えないんですよね。稼働後充分データがそろってから検討するソリューションと思っています。
なので、締め請求の要件が無い場合、「どうしたら…?」となってしまいます。
もともと締め請求の要件がある場合は、普通に2を進めれば良さそうです。
ただ日本固有機能のせいか、設定ドキュメントがまとまってない気がするので、ここに書いておいて忘れないようにしよう、と思ってこの記事を書いています。
この記事は SAP アドベントカレンダー 2023 の12月3日分の記事として執筆しています
日本の報告書取込の仕組みだと、「メモ行」項目には銀行名・銀行支店名がセットされます。振込依頼人名はここにはセットされません。(「パートナ名」には入っている模様)
銀行報告書で使われる解釈アルゴリズムは、メモ行の情報を使って消し込む仕組みになっているので、ここにマッチングのための情報が入っていないと、処理ルールを使って処理することは厳しいようです。
参考:解釈アルゴリズム(Help Portal)
日本向けローカライズの締め請求を使ったロジックは、解釈アルゴリズム「000:事前処理なし」で処理されます。
会社コードデータの「得意先: 国依存拡張」タブに設定していきます
※締め請求についてはここでは詳述しないので、最低限のものをピックアップしています。締め請求の詳細はこちらの Help Portal を参照してください。
※名寄せテーブルとして複数行登録して使うことができます
※移行ツールでは「代理支払人名」のシートから入力可能です
銀行手数料を当方負担とした場合に、先方が控除して支払うと想定される金額を設定しておきます。この金額が入金額と債権額の差額に一致する場合、その分は銀行手数料として仕訳が発生します。
締め請求済みのこちらの請求書の金額に、11/10に銀行手数料110円を差し引いて入金があった、というシナリオでテストします
取り込む入金ファイルはこちら。仮想口座ではなく、名寄せテーブルを使ってマッチングする想定です。
銀行報告書のインポートを使って取り込みます(この下の方にあるログのパラメータはONにしています)
転記ログを見ます。上と下の2つの仕訳ができていたら、成功です。
上は債権との消込の仕訳、下は銀行入金の仕訳です。
債権の消込の方の仕訳を見てみます。
※銀行手数料の消費税はどうした?は2023/12/03現在問合せ中なので、続報あれば追記します。
締め請求の画面を見に行くと、該当の合計請求書は消込済タブに移動しました。
以上、締め請求して自動消込するための設定を、まとめてみました。
じゃあ、締め請求しない場合はどうするのよ、ということについては、
というアイディアしかなく…
実はBAdIで消込ロジックを今までと同じように書けるよ、などの情報がありましたら、是非是非教えてください!