*このブログは、2022年10月13日にSAPジャパンブログに投稿したものです。弊社プラットフォーム変更により、内容をSAP Community Blogに再投稿しております。
SAPより先日発表させていただいた、SAP S/4HANAのリリース・メンテナンス方針変更の日本語抄訳を下記に記すと同時に、背景にあるコンパチビリティ・パック(SAP S/4HANA移行後も2025年までは使用可能なSAP ERP 6.0 / ECC機能)に関する重要なお知らせも併せてこのブログでお知らせします。
https://news.sap.com/2022/09/new-sap-s4hana-release-maintenance-strategy/
Eric van Rossumによる記事
SAPは本日、SAP S/4HANAのリリースおよびメンテナンス戦略の変更を発表し、お客様に継続的なイノベーション機会の拡大と、クラウド対応への柔軟な道筋を提供することを発表しました。
ビジネス面、競争面、そしてビジネスプロセス面における企業への要求は厳しく、SAPのお客様はかつてない変化のスピードにさらされています。そのためにデジタル化戦略を、迅速かつ確実に実行しなければなりません。お客様は、継続的にイノベーションを醸成すると同時に、ビジネスプロセスを新たな環境に適応させ、ビジネスモデルを再構築する必要があります。クラウドテクノロジーは、このような変化に対応するために極めて重要です。
2023年10月より提供されるSAP S/4HANA の2023リリースは、次世代テクノロジーと従来のソフトウェアとの互換性を実現するための主要リリースと位置付けられます。このリリースから、SAP S/4HANAはリリースサイクルを2年ごとにし、各リリースのメインストリーム保守の期間を7年に延ばし、より適用しやすいフィーチャーパックを提供します。
この大きな節目をサポートするため、SAPはSAP S/4HANAの1709、1809、1909をご利用いただいているお客様に、2023リリースへの直接アップグレードを可能にする延長保守オプションを提供します。
SAPは、2040年まで、SAP S/4HANAリリースシリーズの何れか最低1リリースを保守し続けるという方針を以前発表していますが、この従来方針に変更はありません。
SAP S/4HANA の2023リリースは、製品の成熟度がさらに進化しています。既存および新規のお客様の可能性を最大限に発揮できるよう、サービス、ベストプラクティス、ビジネスプロセスを最適化しています。
お客様にとって、自分たちのペースでイノベーションを推進できる柔軟性は重要です。そのためSAPは、クラウドERPのどの段階からでも、たとえその道筋がまだ描かれていなくても、クラウドへの道筋として延長保守オプションを提供し、お客様のニーズに対応します。
2015年以来、SAP S/4HANAはお客様に革新的なソリューションを提供し、来るSAP S/4HANA の2022リリースを含め、頻繁にアップグレードすることを推奨してきました。来年リリース予定のSAP S/4HANA の2023リリースは、次世代テクノロジーと、SAPのレガシーソフトウェアのコンパチビリティ・スコープに替わる多くのSAP S/4HANAでの代替新機能を提供する予定で、お客様にも新たな区切りになるリリースです。
SAP S/4HANA の2023リリースを採用することで、お客様はSAP環境を最新の状態に維持することが容易になります。2023は、ビジネスの中断のない継続的なイノベーションの機会を拡大し、必要なときにいつでもクラウドに対応できるようにお客様をサポートします。
お客様がより最新の状態を維持しやすく、アップグレード回数を減らす事ができ、より高い価値を提供できるよう、SAPは次の対応をします。
SAP S/4HANA の2023リリースへのアップグレードをより簡便にするために、SAPは5年間のメインストリーム保守の終了を間近に控えたSAP S/4HANAのレガシーバージョンに対して、延長保守オプションを提供します。このオプションは、2023年から2025年までの期間に提供され、この期間内に四半期ごとに更新することが可能です。
SAP S/4HANA の1709、1809、1909リリースのオンプレミスおよびサブスクリプションモデルのお客様は、2つの方法のいずれかで延長保守を受けることができます。
SAPは、お客様がインテリジェントでサステナブルな企業になるために、重要検討課題がさまざまある事を尊重し理解しています。SAPは、これらの重要課題を認識し、個々のお客様のニーズにこたえ得るソリューションを提供し続ける方針です。
より詳細は、SAP Support Portal (ログインが必要です)にアクセスください。
Eric van Rossumは、SAP S/4HANA部門のチーフマーケティング&ソリューションオフィサーです。
上記ニュースの通り、コンパチビリティパック(SAP S/4HANA移行後も2025年まで、または2030年までは使用可能なSAP ERP 6.0のコンポーネント)が出そろうのが2023年にリリース予定のSAP S/4HANA です。コンパチビリティパック対象機能というのは、1990年代SAP R/3の時よりお使いいただいた、EC-PCAで知られた利益センター会計、EC-CSの名前で知られた連結会計、旧来の限定的な数量のみ管理する倉庫管理機能などは、時代の要請に合わなくなった旧来の機能です。より高度なSAP S/4HANA・SAP Fiori上の機能に置き換えられるため、2025年までに、一部機能は2030年までに、それら旧来の機能からSAP S/4HANAの新機能に置き換えをお願いしております。
コンパチビリティパックの機能はどれか?はこのSAP Noteに記載されております:
ここからが重要なお知らせです。コンパチビリティパック機能は2025年末(一部2030年末)でお客様の使用権が無くなります。もしも2025年を超えてそれらの機能を使ってしまったらどうなるか?どうやって該当機能の使用状況の洗い出しを行うか重要なブログが出ておりますのでこちらご参照ください。
このブログで書かれている主要なポイントをまとめます。なおこの日本語ブログの情報は2022年10月時点のものです。今後変更がある事がありますので、上記SAP NoteなどSAP情報ソースは最新情報にご注意ください。
1.コンパチビリティパック対象のテーブルやトランザクション等のオブジェクトが予告なく削除されたり、ブロックされることはありません。使用権の失効によりサポートやメンテナンスはされなくなります。
2.お客様システムに影響のあるコンパチビリティパック対象を確認するにはSAP Readiness Check (詳細ブログリンク)をご使用ください。抽出された関連する可能性のある項目について、現在でも使われているかご確認ください。SAP Readiness Checkで分かるコンパチビリティ・パック対象機能の使用状況確認はこちらのブログにも分かりやすく書かれていますのでご確認ください。
3.カスタムコードでコンパチビリティパック対象のオブジェクトを使っている場合、使用権失効後はSAPでは正確性を保証できなくなります。
4.コンパチビリティパック対象のデータはお客様に属するため、アーキテクチャやデータモデル変更により無効化されない限りはRead onlyで読み込むことはできます。ただし、コンパチビリティパック対象の標準トランザクションは使えなくなります。
5.2025年末以降*にSAP ERPからSAP S/4HANAに移行する場合は、コンパチビリティパック対象の代替機能への移行を「必ず」SAP S/4HANA移行プロジェクトに含める必要があります。
2030年末に使用権が失効するコンパチビリティパック対象(LE-TRA Transportation, CS Customer Service, PP-PI Production Planning in Process Industry)の場合は2030年末以降上記の点に注意いただく必要があります。
もし何か不明点あれば、担当営業・PBMなどの窓口か、私木下までご連絡ください。